昨年、アメリカ旅行中に車でアリゾナ州を横断した。
たまたま昼食をとろうと立寄ったバーガーキングの出口で
あるネイティブ・アメリカンの夫婦に声を掛けられた。
私が初めてネイティブ・アメリカンと接触した瞬間だった。
何やら彼らの話を聞いていると、私のお粗末なリスニング力でも
お金を貸して欲しいと言っているのは理解できた。要は物乞いだったのだ。
さて、どうしたものか?と困っていると、その様子を見ていたティーン
ネイジャーと思われる白人の男の子が、彼らにバーガーキングのテイクアウトボックスを差し出して、一言
「Merry Christmas !」と言い、私たちに目配せして去って行った。
その日はクリスマス・イヴだった。
ネイティブ・アメリカンの夫婦は彼に向かって
「Thak you, Thank you」と言うと、今度はまた別の白人の男性のところへ
行き、お金を貰っていた。
私は、呆気にとられてしまったのと同時に、ショックを受けた。
彼らはああやって物乞いをしないとクリスマスも過ごせないのか?
と思うと、アメリカという大国の陰を見たような思いだった。

前置きが長くなってしまったが、こういうことがあって、
少しネイティブ・アメリカン(インディアン)に興味を持つようになった。
この「ダンス・ウィズ・ウルブズ」は1990年の作品で少し古いのだけれど
知り合いに薦められて観ることにした。

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ケヴィン・コスナーの第1回監督主演作品で、アカデミー賞作品、監督、脚本、音楽賞など7部門を制覇、またベルリン映画祭でも銀熊賞を受賞したスペクタクル西部史劇。 南北戦争で英雄となった北軍中尉ジョン(K・コスナー)は、戦後フロンティアを夢見てダコタ最西部の砦に赴任し、ネイティヴ・アメリカンのスー族と親しく…
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白人の中尉であるジョン(ケヴィン・コスナー)がネイティヴ・アメリカンのスー族の彼らと少しずつ親しくなり、最終的には家族同然の関係となる。
白人でありながら、少しずつネイティヴ・アメリカンの彼らと同じ視点に立つようになっているジョンから見た彼らの世界が描かれている。

はじめはお互いに違う言語を話しているわけだから、言葉でお互いを理解することは難しい。というよりも、不可能。言葉が通じなければどうするか?というと、なんとか相手を理解しようと行動や声のトーン、表情や目を見て、相手の心を見るように努力する。言葉が通じないからと言ってもそれらの情報があれば、なんとなくどういう人間なのかわかってしまうものだ。

ジョンと”蹴る鳥”はお互いに警戒心を抱きつつも、好奇心がそれに勝って自らが相手に近寄り、互いを理解しようと努力する。この二人が少しずつ友情を育み、信頼を深めて行く様子がゆっくりと時間をかけて描かれている。
スー族が力でジョンを制するのは簡単だったが、それを行使せずに理解を深めようとする彼らの姿勢が素晴らしい。ひとつの種族が大きな家族のようなもので、年長者の言うことには必ず耳を傾けて従い、集団で協力しあって狩りをし、お互いに助け合う。スー族(ネイティヴ・アメリカン)の秩序のとれた世界に彼らの神髄をみた思いだ。

狩りといえば、圧巻なのはバッファローの狩りのシーンだ。
数えきれない程のバッファローの大群が一方向に向かって猛然と走り去る様子はものすごい迫力だった。
一体、どうやって撮影したのだろうか?
バッファローが演技できるわけでなし、どうやって走らせたのか不思議。

最終的には力でネイティヴ・アメリカンを制圧、降伏させてしまう白人側。
わかってはいたが、悲しいラストだった。
しかしながら、それだけではない何か心に残る秀作だ。

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