サイドウェイ

2005年7月10日 映画
私の知り合いにソムリエの資格を持っている人がいる。
彼女のおうちに遊びに行くと、かなり高い確率でおいしいワインにありつけるのである。私は、ワイン、ビール、焼酎、日本酒、カクテルとアルコールはほぼパーフェクトに何でも口にするのだが、ワインに対する想いは他のアルコールとはちょっと違う。
ワインのコルクを抜く一連の作業から、グラスにワインを注ぐ時の一瞬の静寂。
何年もの時を経て空気に触れたワインのかもし出す豊かな香り。
ワインには他のアルコールとは違う独特の「物語」がある。
だから、なんとなくロマンチックに酔えるアルコールだと思う。

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DVD 20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン 2005/07/07 ¥3,990 小説家志望の中年の国語教師マイルスと親友ジャックは、旅先のレストランで美人のマヤと出会う。調子のいいジャックは婚約者がいるのにナンパした女性とうまくやっているが、結婚に破れ、小説家の夢もどうなるかわからない、何もかもうまくいかないマイルスは、マヤにひかれつつも一歩が踏み出せずにいた。『アバウト・シュミット』のアレクサンダー・ペイン監督が、平凡な男が人生を見つめなおす姿をユーモアと人情あふれる演出と脚本でつづる。
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人生80年生きると仮定して、その折り返し地点で自分の半生を振り返ってどう思うのだろう?
自分にはいいことがちっともなかったし、やり残したことばかりで後悔だらけの半生だと思うのか?
それとも、いろいろあったけれど、ここまでのところはそんなに悪くないな、と思うのか?
決めるのは誰でもない、自分なのだと言うことを思い起こさせる映画だ。

主人公のマイルスは親友ジャックの結婚を1週間後に控えてふたりでカリフォルニアのワイナリーを巡る旅に出る。マイルスはジャックにいい思い出を作って欲しいと思いあれこれ計画を立てるが、ジャックは結婚前に最後の羽目を外そうと目をつけた女性に声をかけまくり、好き勝手に行動する。
主演のマイルス役のポール・ジアマッティのダメっぷりと親友でジャック役のトーマス・ヘイデン・チャーチのノーテンキぶりの対比が笑える。
マイルスは離婚のショックからいまだ立ち直れずにいて、情緒不安定。
別れた奥さんのことがいつまでも忘れられず、目の前に女性がいてもイマイチ積極的になれない。
一方のジャックはマイルスとは全く反対の超ポジティブタイプ。
考えるより先に行動してしまうタイプ。アバンチュールを楽しむジャックにはこれっぽっちの罪悪感もない。(なんという羨ましい性格!)

マイルスは離婚後、現実から目をそらして生きてきた。
いつかは、(もしかしたら)彼女とヨリを戻せるのではないか?と何の根拠もないのに漠然と思っていた。でも、それは彼女の再婚という事実を突然突き付けられ、あえなくその希望は崩れ去る。そこへ追い打ちをかけるように、自分の小説が本になるチャンスも消えた。
そして、ようやく現実を受け入れ、彼の中で止まっていた時間が再び動き出した。彼女(マヤ)がワインには飲み頃がある、その時を逃すと味はどんどん落ちていくから、その時を逃さずに飲まないと(というようなこと)と言っていた。ワインが熟成して飲み頃があるように、マイルスにとっては、今までの止まっていたかのような時間も実は必要な時間だったのだと思える。

とうとう思い切って前に進み、マヤの家のドアをノックするマイルス。
結果はどうであれ、とりあえず目の前のドアを叩いてみることだ。ただ立ち尽くしているだけでは、何も起こらない。自分で扉をノックしてみて初めて動き出すのだと思う。マイルスの目の前のドアは開かれたのだろうか?彼女は彼を受け入れてくれるのだろうか?
この映画のラストは観る人が想像しなければならない。
だから人によって違うものになる。私はもちろんハッピーエンドを選択しましたけれど。

そして、この映画観て、ちょっと頑張ろうって思えた。
諦めないで続けること。
気になるドアがあったらとりあえずノックしてみること。
私にもノックしたい扉がいくつかある。結果はどうであれ、ノックしないと始まらないってことだよね。何ごとも。

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