心臓を貫かれて〜Shot in the Heart~
2005年10月10日 読書
こんな不幸があるのだろうか?
悲劇のスパイラルの渦のなかに入り込んでしまった
この一家の歴史は凄まじいとしか言い様がない。
本当にこんなことが起こりうるのだろうか?
信じがたいような不幸が次々と一家を襲う。
まず、この物語の作者は殺人の罪で死刑判決を受け
銃殺刑で亡くなった、ゲイリー・ギルモアの
実弟であるマイケル・ギルモアである。
彼は、この本を書くにあたって実兄のフランクをはじめ
たくさんの人に会い取材を重ねた。
先に出版された「死刑執行人の歌」を書いた
ローレンス・シラーとノーマン・メイラーからは
母親ベッシーとゲイリーのインタビューテープを借り、
自分の母親と兄から語られた一家の物語も聞くことができた。
しかし、自分の身内のいわば人に知られたくないような
秘密について知ること、またそれを文章におこすことは
相当辛いことだったと思う。
しかし、この本を作り上げるための一連の作業が辛くとも
彼にとっては必要不可欠なことであったのだと思う。
ギルモア一家を象徴する言葉は『暴力』である。
私にはそれ以外の言葉が思い当たらない。
マイケル以外の兄弟3人は幼少時から継続的に父親から
また、長兄のフランクは時には母親からも暴力を受けていた。
そして、母親も父親であるフランクから暴力を受けていた。
暴力を受ける理由は父親の言い付けを守らなかったから、とか
ただ単に父親の機嫌が悪いから、とかとにかく理由はないに等しい。
父親からの暴力については、長兄のフランクが語ったもの
であるが、想像するだけで恐ろしく、私は呆然としながら
本を置いてしまうことがしばしばあった。
本の中には家族の写真、子供達だけで映っている写真が
たくさん掲載されているのだが、そのかわいらしい子供の
笑顔の裏に隠された辛い体験を思うと、涙が溢れた。
ゲイリーは強盗などの容疑で刑務所を出たり入ったり
の生活を繰り返し、最後は銃殺刑によってその人生の幕を閉じた。
この世に生を受け、三十数年の人生の中でいったいどれほどの
幸せを味わったのだろうか?
幼少時から、ずっとジプシーのような生活を親から強いられ
父親の愛情に飢えた彼に、たとえ殺人犯とはいえ、私は彼に
同情しないわけにはいかない。
暴力は彼に「恐怖と憎しみ」という負の感情を植え付けた。
本来なら無償の愛を注いでくれるはずの父親から受けた
暴力が彼の人格形成に大きな影響を与えたことは確実である。
事実、彼は父親に対する憎しみの感情を吐露している。
当たり前だが、暴力からは何も生まれないのだ。
最後に、驚くべき事実が知らされる。
これはアイデンティティーを揺るがしかねない
衝撃の事実であった。
思わず、えっ?と声をあげそうになった。
真実はひとつ。
しかし、その真実を知らないほうが幸せなことはよくある。
かくも過酷な人生を何故神様は彼らに与えたのであろうか?
それこそ、神のみぞ知ることであろう。
悲劇のスパイラルの渦のなかに入り込んでしまった
この一家の歴史は凄まじいとしか言い様がない。
本当にこんなことが起こりうるのだろうか?
信じがたいような不幸が次々と一家を襲う。
まず、この物語の作者は殺人の罪で死刑判決を受け
銃殺刑で亡くなった、ゲイリー・ギルモアの
実弟であるマイケル・ギルモアである。
彼は、この本を書くにあたって実兄のフランクをはじめ
たくさんの人に会い取材を重ねた。
先に出版された「死刑執行人の歌」を書いた
ローレンス・シラーとノーマン・メイラーからは
母親ベッシーとゲイリーのインタビューテープを借り、
自分の母親と兄から語られた一家の物語も聞くことができた。
しかし、自分の身内のいわば人に知られたくないような
秘密について知ること、またそれを文章におこすことは
相当辛いことだったと思う。
しかし、この本を作り上げるための一連の作業が辛くとも
彼にとっては必要不可欠なことであったのだと思う。
ギルモア一家を象徴する言葉は『暴力』である。
私にはそれ以外の言葉が思い当たらない。
マイケル以外の兄弟3人は幼少時から継続的に父親から
また、長兄のフランクは時には母親からも暴力を受けていた。
そして、母親も父親であるフランクから暴力を受けていた。
暴力を受ける理由は父親の言い付けを守らなかったから、とか
ただ単に父親の機嫌が悪いから、とかとにかく理由はないに等しい。
父親からの暴力については、長兄のフランクが語ったもの
であるが、想像するだけで恐ろしく、私は呆然としながら
本を置いてしまうことがしばしばあった。
本の中には家族の写真、子供達だけで映っている写真が
たくさん掲載されているのだが、そのかわいらしい子供の
笑顔の裏に隠された辛い体験を思うと、涙が溢れた。
ゲイリーは強盗などの容疑で刑務所を出たり入ったり
の生活を繰り返し、最後は銃殺刑によってその人生の幕を閉じた。
この世に生を受け、三十数年の人生の中でいったいどれほどの
幸せを味わったのだろうか?
幼少時から、ずっとジプシーのような生活を親から強いられ
父親の愛情に飢えた彼に、たとえ殺人犯とはいえ、私は彼に
同情しないわけにはいかない。
暴力は彼に「恐怖と憎しみ」という負の感情を植え付けた。
本来なら無償の愛を注いでくれるはずの父親から受けた
暴力が彼の人格形成に大きな影響を与えたことは確実である。
事実、彼は父親に対する憎しみの感情を吐露している。
当たり前だが、暴力からは何も生まれないのだ。
最後に、驚くべき事実が知らされる。
これはアイデンティティーを揺るがしかねない
衝撃の事実であった。
思わず、えっ?と声をあげそうになった。
真実はひとつ。
しかし、その真実を知らないほうが幸せなことはよくある。
かくも過酷な人生を何故神様は彼らに与えたのであろうか?
それこそ、神のみぞ知ることであろう。
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